9月に入り、セミの声も急に聞かれなくなりました。そろそろ夏も終わりです。
TSURUMIの2度目の夏は、二つの異なるお泊りの風景がありました。
一つ目は、大和ハウスエンドレス募金の助成をいただき7月に実施した「TCHキャンプ」です。ホスピスを利用されるお子さんの中でも、現在治療中の方や、体調が安定しない中で在宅生活を送られているお子さんとご家族を対象に、『みんなで泊まる体験の機会』として、初めて集合型の宿泊を行いました。
私にとっても『キャンプ』、は子ども時代の大切な家族との想い出の一つです。そして、たくさんのことを学んだ体験の場でもありました。みんなで作って大勢で食べるカレーライス、虫に怯えながらの夜の散歩、夏でも涼しい夜の空気。そして、なんといっても、一番の非日常は、テントの中で寝ること!
TCHでも、お子さんにとっての未知の体験、大きな成長の機会としてキャンプを捉え、希望されるご家族にはテントで寝ることをお薦めしました。外で寝ることは体調上難しいので、お部屋の中に小さなテントを張って、お父さんやきょうだいと一緒に寝られたご家族、2階のテラスにテントを張って、ちょっとだけ外を感じられたご家族、テントでは寝られないけど、バギーごと大きなテントに入って写真撮影をするなど、ご家族ごとのテント体験となりました。大きなテント(写真)は、結局、私ときょうだいのお姉ちゃんと二人だけで寝ることになりましたが、夜は二人でたくさんおしゃべりができて、普段できない体験でした。
参加されたお子さんやご家族は、お互い「初めまして」の5組でしたが、子どもたちはいつの間にか一緒に遊びはじめ、お母さん同士はおしゃべりの輪ができて、夜にはお父さんたちが集まって…と、計画されたものではない、自然なつながりが見られました。これもまた、普段はできない、TCHでの集合型宿泊の意味でもあるな…としみじみ感じました。
今回、『カレー作り』や『テントで寝ること』に少しだけこだわったTCHキャンプでした。カレーの準備では、お母さん方の手際の良さに驚き、お庭のテント張りでは、お父さん方の力が結集されました。ご家族と共に創るキャンプ、ご家族と一緒に創るTCHに、少しだけ近づけたのかな…と感じられた二日間でした。
二つ目のお泊りは、あるご家族の宿泊体験の風景でした。
お子さんの日常は、病院と自宅だけの生活。ご家族の願いは、家族みんなで外に出かけることでした。昨年からTCHに家族で出かけることに、少しずつ慣れてきたご家族。そして、この夏やっと念願だった家族一緒に、外にお泊まりに行くことのステップとして、TCHで宿泊していただきました。
家族みんなで散歩しながらの夕飯の買い物、初めてのスーパー、ちょっと早い七五三の写真撮影と、「何もかもが初めてづくし」の一泊でした。お子さんの表情は、「初めてのお泊りだけど、みんな(家族)と一緒だから全然平気」とでも言ってくれているように、私には感じられました。このお泊り体験が、お子さんとご家族のこれからの生活の広がりに、少しでもつながればと願います。
ファミリーケアマネージャー
市川雅子