鶴見緑地の緑も、日に日に濃くなり、葉っぱも虫もずんずんと大きく成長しています。TCHでは、自然の姿が間近に見られるため、虫が苦手な私も最近ではずいぶんと、虫慣れ、草慣れしてきた気がします。
(芝生の芝刈りが始まりました)
2017年度がスタートし、あっという間に2ヶ月が過ぎました。お庭には、チョウチョウ、バッタの赤ちゃん、カマキリの卵、そしてたくさんのだんご虫がうにょうにょしています。虫が好きな子どもたちには、ワクワクするような季節ですね。
(5月に入って、さつきの花も満開に)
大阪マラソンに向けたチャリティランナー練習会「つるみdeラン」や、一周年記念写真展など、年度始めの賑やかな風景はすでにお伝えしましたが、今日はまた別のTCHの風景を少しだけお伝えしたいと思います。
子どもホスピスの利用を希望されるご家族にとって、TCHは日常の時間を少しでも取り戻していただける場所です。病院から離れ、子どもたちがきょうだいや家族と一緒に笑い、遊び、駆け回ることができる場所です。この春、私たちはご家族と一緒に、その幸せなひとときを過ごさせていただきました。
病気と闘うお子さんをもつご家族にとって、「ホスピス」という言葉がもつ印象は、決して優しいものではなく、拒否したくなる気持ちになるのも無理もないことだと思います。それでも私たちは、「TCHに遊びに来ませんか」と、ご家族やお子さんにお声をかけ続けています。この5月から、TCHスタッフが定期的に病院に訪問させていただき、入院中のお子さんやご家族に、直接ホスピスのことをお伝えしています。
「もっと早く、来ておけばよかった」これは、お子さんを亡くされた後、初めてごきょうだいを連れて、TCHに遊びに来てくださったお母さんの言葉です。私たちも、もっと早くこのホスピスのことをお伝えできていれば‥‥と。この反省は、常に私たちの中に残っています。子どもホスピスができること、それは今、ホスピスケアを必要とされるお子さんとご家族に、早くTCHの情報を届けることです。
(子どもたちを魅了する、原っぱの白つめ草の花)
子どもホスピスが、お子さんとご家族の大切な想い出を、一つでも増やすための場所だということ。TCHがあることは知っていても、どのタイミングならいいのか、子どもたちとどんな時間を過ごせるのかを想像したり判断することは、難しいのかもしれません。
それでもこの春、TCHには「利用したい」と、5組のご家族が来られました。たくさんの遊びが用意されているTCHは、お子さんやきょうだいにとっては目移りするような魅力あふれる場所のようです。TCHに来ることに、「(兄は)最初はあまり乗り気じゃなかったんですよ」と、元気いっぱいに遊ぶごきょうだいの姿を見ながら、嬉しそうには話しておられるお母さんもおられました。病気のお子さんのこともだけど、本当はごきょうだいのことにもとても胸を痛めておられたのだと、お母さんの笑顔から想像できました。
私たちができることは、当たり前の日常を取り戻す、ほんのわずかなお手伝いです。お子さんとご家族が過ごす時間の中に、一つでも「よかった」と思えることを創り出すこと。この春の風景は、目立たないけど温かで、子どもの笑顔とご家族の笑顔があふれる、一つひとつがとてもスペシャルな日常の風景でした。
(子どもたちがいない日は、ぬいぐるみたちやボールのお洗濯)
春はそよそよと風と一緒に吹いてきて、チョウチョウの舞う姿を見るたびに、今日は誰が遊びに来てくれたのかな…と、お空にいる子どもたちのことを想い出しています。
また、TSURUMIで皆さんをお待ちしています。
市川雅子