こんにちは。ホスピススタッフの古本です。
春、新年度…、様々なことが移り変わって、次に進んでいく時期ですね。
TCHでは、この3月に8組の子どもたちがメンバー利用を「終了」することになりました。
ホスピスの「メンバーの終了って、どういうこと?」と思われるかもしれませんね。メンバーの子どもに関して「TCHのメンバーになると、ずっとメンバーなの?」という質問をいただくことがあります。治療は続いているけど、病気を抱えながらも地域に戻ることができる子どもたちは、地域への復帰がだいたい確認できると「TCHの利用を終了する」ことになります。治療中、制限だらけの時期に、ホスピスをたくさん利用してもらって、治療終了や制限が少し緩和されるとお出かけや集団生活もしやすくなる分TCHを利用することが減っていく…そんな流れをたどります(それでも、再発の不安や病気の心配事は絶えないのですが…)。
ホスピスの利用方法や仕組みのことは、まず、親御さんに説明しています。ただ、それだけだと子どもたちにしてみれば「急に利用が変わった、もうホスピスには行けない」と言われ、自分のお気に入りだった場所にある日突然行けなくなるわけで…、「なぜ?」となって納得がいかない子たちもいるでしょう。
これまで、子ども達にそういったこと(ホスピスの利用の意味や流れ)を十分説明できないまま、ホスピスの利用を「終了」してしまうことが、ずっと気がかりでした。そこで、19年度は「子ども達に伝えよう!」を力をいれてやってみることに…。「どう説明したら、わかってもらえるかな」、「どんなことを伝えたらいいのだろう」、「終了するにあたって、子ども達が大きくなってホスピスにアクセスしたいと思った時にはどうしたらいいのかな」など、スタッフはあれこれと話し合い、そして試行錯誤を始めました。
そして、この3月。子どもたち(家族)に合わせた内容でもって、「終わり」に関するお話をしてみました。そしたら、私たちが想定していた以上に、子どもたちはTCHがどういう所かをよくわかっていて、多くは「病気の子どもが来て遊べるところ」と答えてくれました。
ただ、この「病気」という言葉が少々厄介でして…。病気にもいろーーーんな種類があり、重症度も様々です。「インフルエンザ、コロナ、血の病気、心臓の病気、小児がん…」などなど、病気の種類や状態の「違い」をどう伝えるのも大事なことだなと感じました。そして、もちろん「病気になることは、誰のせいでもない」というメッセージをきちんと届けました。
もうひとつ、大事だなと思ったことは、利用に関して「できること」と「できなくなること」をちゃんと伝えるという点です。メンバー利用が終了すると、ホスピスで自由に遊べなくなります。これって子ども達にとってかなり悲しいポイントなんですよね。
それは、きょうだいにとっても同じようで、彼らの寂しさもひしひしと伝わってきました。本人もそうですが、きょうだい達は、きょうだいが病気である中で多くを我慢しています。きょうだい達にとっても、ここTCHは自由に好きなことがおもいっきりできる場所ですから、それができなくなるのはとても寂しく感じるようで…。きょうだいが「じゃあ、僕が病気になったら、つるみに来れるの?」という質問を率直に出してくれたりして、言葉にうっと詰まります…。そのくらいホスピスのことを好きでいてくれるんだなぁ、と。
お話のラストパートでは、それぞれのご家族の利用風景を一緒に振り返ります。
目に見えて元気になっていく姿、きょうだいともに成長していく姿、お泊りの日、水遊びの日、ブランコにたくさん乗った日、お野菜収穫した日、かくれんぼをした日などなど、、。見ているスタッフも「あ、~こんな日あったね」と懐かくうるうるします。たくさんの時間、ホスピスで過ごしてくれた子ども達とご家族。ひとつ一つが少しでも子ども達のエネルギーになれていたらいいな…と思いました。
最後に。「いつでも連絡してね」の思いを込めて、連絡先を一方的にお渡し。
数年後、数十年後、楽しみです。
その時まで「あり続ける」ホスピスでありたいと思います。
ホスピススタッフ 古本愛貴子