生きていくことと、『はたらく』はとても近い気がします。どちらも「自分の力」が必要だから。自分がやる、自分で決める、そして自分を生きる!それが『はたらく』なんじゃないのかな…と思うのです。
子どもたちが主体的に、能動的に、そして積極的に『はたらく』を、『生きる学び』にする取り組みとして、今年度『働く体験プロジェクト』がTCHで始まりました。参加するのは、重い病気のために入院治療を経験した、高学年以上のこどもたち。みんな「生きる」ために、病気と闘ってきた子たちです。
今日は、そんな子どもたちの、『働く体験』の様子をお伝えします。
協力してくれたのは、石窯ピッツアアンソニーさん!
キッチンカーのお仕事を実際に体験しながら、「働く」を知ること、「生きる」を感じる、考えることにつながればと、ちょっと大きなテーマのなかでプロジェクトが始まりました。
●5月『働く体験』初日。
集まったメンバーは4人、ドキドキしながらキッチンカーのマスター薮下さんのお話しをききました。
初回は、これから始まること、どんなことを一緒にやるのかを考える回でした。
●2回目以降は「自分がやりたいと思うか」それを大事に問いかけました。
「来月も、『働く体験』やってみる?」
やるのも自由、やめるのも自由、ただし決めるのは自分。
「お店に立つのは恥ずかしいけど‥‥やってみたい」「働きたい」「やる!」
そんな声が集まって、2回目以降も子どもたちは集まりました。
イタリアンピッツアを売るお店だから、子どもたちのユニフォームも赤、白、緑とマルゲリータカラー。
お客さんの前に立つのは恥ずかしい、でもお客さんには来てほしい、マスターの美味しいピッツアを食べてほしい!そのためにできることは何だろう?
「自分が食べておいしいと思うピッツアは、お客さんにも食べてほしいよね。」
「じゃあ、まずは自分が食べて美味しいと思ったピッツアのポップを作ってみたらどうだろう?」とマスターからのお仕事アドバイス。
お店とポップ作りと、2つの場所でそれぞれが分かれてお仕事スタート。
お店に立っている仲間と、お互いの場所を中継で結びました。
お客さんの様子も見えて現場のワクワク感が伝わってきました。
「お仕事って、ピッツアを作って売るだけじゃないんだよね。ピッツアを美味しく食べてもらうためにする準備のお仕事、これも大事なお仕事なんよ~」と、マスターの言葉。
子どもたちは自分にもできる役割を見つけ、お互いの様子をみながらも、お仕事の色々を学びました。
●7月、3回目は梅雨真っ只中の、とっても蒸し暑い日でした。
お客さんの前に立つのは、やっぱりまだ恥ずかしい‥‥。でも、「誰がお店に行く?」 譲り合っている中で、「あ~お客さん来ましたよ!店員さん!早く手伝ってください!」の呼びかけに、ひとり、ふたり…と動き出しました。
お客さんに注文を聞いています
お持ち帰り用ピッツアの温め方と、おしぼりをセットする準備も実は大事なお仕事でした!
結局、みんなが交代でお店に立って、テーブルを拭いたり、注文を聞いたり、出来上がったピッツアを手渡したりと、気がついたら…自分で動いていました!
少しずつ緊張もほぐれ、接客する表情にも変化が…
あっという間の2時間。終わった後の子どもたちからは、「今日はお客さんが多かった」「初めて接客できた!」「もっとお客さんと話せたらよかったな~」といった、子どもたち自身の気付きとまなびの声が上がりました。
恥ずかしいし、緊張しちゃうし、お客さんの前に立つのはドキドキするし、ちょっと怖いんだけど…でも、「やる」っていうのは子ども自身。子どもたちの中にあるのは、「やりたい」「挑戦したい」気持ちだけなのかも。大事なのは、それを自分でやると決めたこと、それが一番大事な気がします。
子どもたちの学びはまだまだ続きます。私も子どもたちの姿を見ながら、「怖いけどやってみたい」と思う気持ちを思い出しました。まだまだこれから!
そんな姿が、周りにいる大人たちにも、大きなパワーを与えてくれました。
子どもたちがおすすめするピッツアメニュー
アシスタントケアマネージャー
市川雅子
※『働く体験プロジェクト』は、ベネッセこども基金 『2018年度重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成』をいただき、実施しています。子どもたちの挑戦は、秋以降も続きます。後半戦もお楽しみに!